第 9 号
平成14年4月26日

「信書便法案」に関する当社の見解

  ヤマト運輸株式会社(東京都・社長 有富 慶二)は、本日閣議決定された「信書便法案」について17:00より緊急記者会見を行いましたので、社長発表内容の要旨についてお知らせします。


1. 「信書便法案」は、郵便事業の規制緩和、民間参入を実現するものと、当社は大きな期待を抱きながら、積極的に参入するつもりでいました。
   
2. 郵便事業の規制緩和、民間参入とは、「信書の国家独占の撤廃あるいは独占領域の縮小にほかならない」と考えております。
   
3. しかし、本日閣議決定された「信書便法案」をみると、民間企業の一挙手一投足すべてを総務省が許認可するいわば「民間官業化法案」ともいえる内容でした。
   
4. これでは、民間企業が斬新かつ柔軟な発想にもとづいて、公正な競争を展開することは望み得ません。
   
5. 法案に規定されている参入条件については、当社は無理すればクリアできると考えます。
   
6. しかし、この法案では、多くの企業が参入し自由に競争することで切磋琢磨し、結果としてお客様の利便性が向上する状況がもたらされることは到底期待できません。
   
7. したがって、この内容では当社は「信書便法案」の許可事業者として参入することはできないと判断しました。
   
8. そこで、当社としては、現行法のもとで既に販売しているクロネコメール便(年間約500億円規模)で、より小さいサイズの取扱いを商品化するなどして、お客様の利便性向上を目指していく所存です。
   
9. ただし、この場合、これまで通り、信書の国家独占という障壁が残ります。
   
10. 信書の定義をめぐっては、マスコミの皆さんにはおなじみの、クレジットカード、地域振興券の配送をめぐって当社は旧郵政省との論争をしてきました。
   
11. 旧郵政省は、昭和33年に出された最高裁判所の判例を拠りどころとして、「信書とは特定の人に対し自己の意思を表示し、あるいは事実を通知する文書を総称するもの」としており、具体的にどのようなものが該当するかについて、かつて「信書のしおり」に記載されていました。<資料参照>
   
12. このうち、「ダイレクトメール」に関しては、郵政監察局から何度か警告を受けました。
   
13. 当社では、新聞の折り込みチラシと変わりのないこれらが、信書であるとは判断しませんでした。
   
14. もはや、当社が単独で総務省(旧郵政省)と争っても埒があかないと考えております。
   
15. 「信書のしおり」に記載されているようなものが信書に該当するということは、誰でも納得できることなのか。また、この現代においても、信書は国家独占でありつづけなければならないものなのか。
こうした議論を、当社と総務省だけの論争にとどめることなく、広く世論に問うていく所存です。
   
16. 誰もが納得できる形で「信書」の定義が明文化され、あるいは「信書」の概念が撤廃され、誰もが配送でき、公正な競争が促進され、結果としてお客様の利便性が向上されると考えます。
当社はそのような規制緩和が実現されることを期待しつつ、今後もお客様サービスの向上に努めてまいります。
   
以上


閉じる | 資料:信書に該当するものの例(旧郵政省発行の「信書のしおり」より抜粋)