平成18年9月11日
ヤマト運輸(株)

日本郵政公社を違反被疑者とする公正取引委員会への申告について


  ヤマトグループのヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区・代表取締役社長 小倉 康嗣)は、9月11日、当社顧問弁護士有賀正明氏・桑村竹則氏・大坪 麗氏を代理人として、公正取引委員会に日本郵政公社を違反被疑者とした「独占禁止法第45条第1項に基づく申告」を行いましたので下記のとおりお知らせします。
 

1. 申告の趣旨
    日本郵政公社は、ヤマト運輸の宅急便よりも低価格で一般小包郵便物であるゆうパックを提供し、当社の顧客を次々に奪っています。その「低価格」を実現するために、日本郵政公社は事実上独占事業である信書事業における「範囲の経済」を活用しています。しかしながら、共通費用の割り振りについては、現在、日本郵政公社はABC方式で計算しているものと考えられますが、スタンドアローンコスト方式で計算し直せば、原価割れである可能性が高いものと推測されます。平成18年7月21日に公表された報告書「郵政民営化関連法律の施行に伴う郵便事業と競争政策上の問題点について−独占領域を用いた反競争的行為への対応−」においてご指摘のとおり、独占禁止法の適用においては、ゆうパックの原価は本来、当該事業だけで費用を算出する「スタンドアローンコスト方式」で計算すべきであると考えます。
    また、日本郵政公社は、大手百貨店に対しても、金融事業等における協力等を使ってゆうパックの利用を勧誘したのではないか、との疑いも払拭できません。
    以上の行為は、独占禁止法第19条違反(一般指定第6項、第9項違反等)に該当すると考えられます。よって当社は、調査の上これを取り締まっていただきたいと考え、公正取引委員会に申告を行いました。

2. 申告に至るまでの経緯
  平成16年9月28日 当社は日本郵政公社の不公正な取引方法について、独占禁止法第 24条に基づく差止請求を求めるため、東京地方裁判所に提訴しました。
  平成17年10月13日 東京地方裁判所は第8回口頭弁論において、当社の文書提出命令申立を却下しました。
  平成18年1月19日 東京地方裁判所は、ゆうパックの原価割れ等の主張立証が不十分であること等を理由に、当社の請求を棄却しました。
  平成18年2月1日 当社は第一審判決の全てを不服とし、東京高等裁判所に控訴しました。控訴審では、当社は主位的請求である差止請求に加え、予備的請求として損害賠償請求も行いました。
  平成18年4月21日 公正取引委員会は「郵政民営化関連法律の施行に伴う郵便事業と競争政策上の問題点について−独占領域を用いた反競争的行為への対応−(案)」(以下「報告書案」といいます。)を発表しました。
  平成18年7月19日 当社は公正取引委員会の報告書案を受け、控訴審第2回口頭弁論において、ゆうパックの原価はスタンドアローンコスト方式で計算すべきこと等の主張を追加しました。
  平成18年7月21日 公正取引委員会は、平成18年5月22日を期限とする報告書案に対する意見募集を経て「郵政民営化が、改革の理念の原点に基づいて真に望ましい姿となるためには、イコールフッテイングの確保が 重要であり、これなくして、郵政民営化の基本理念は画竜点晴を欠 くことになる」という、報告書案と同趣旨の正式な最終報告書「郵政民営化関連法律の施行に伴う郵便事業と競争政策上の問題点について−独占領域を用いた反競争的行為への対応−」を公表しました。
  平成18年8月8日 東京高等裁判所は弁論準備手続において「ゆうパックのスタンドア ローンコストを立証する機会を与える」との意向を当社に示しました。また、当社の文書提出命令申立に対しその発令を留保した上で公正取引委員会の強制調査権並びに専門的解析能力に期待してはどうかという示唆がありました。
  平成18年9月11日 本日、公正取引委員会に対し、日本郵政公社を違反被疑者とする独占禁止法第45条第1項に基づく申告を行いました。

以 上


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